ペーコ | 「ペーコです。 じゃなかった……我、ペイオースは語ろう。予言と秘事を司る戦乙女である私が、この世界の運命を告げるために」 |
蓮十朗 | 「はぁ? なんだそのしゃべり方?」 |
ペーコ | 「当然である。戦乙女としての威厳は必要なのだ!」 |
蓮十朗 | 「威厳? 難しいこと言ってると、またデコが後退するぞ?デコペーコ」 |
ペーコ | 「こ、後退なんてしてないよぉ! じゃなくて、しておらん! れんにゅーは、品性とか威厳とか気にするべきだと思う」 |
蓮十朗 | 「品性? 威厳? ざけんなっ! いるか、そんなの! だいたい、お前なんてペーコで十分だ。じゃなきゃ、ペーだ、ペー」 |
ペーコ | 「で、でもぉ、戦乙女としての威厳っ……」 |
蓮十朗 | 「つねるぞ、ほっぺた…… じゃなきゃ、酢コンブを口いっぱいに詰め込んでやる」 |
ペーコ | 「……うぅ、ペーコで良いよぉ。れんにゅーは目つきだけじゃなくて性格も悪いよ……って?! 痛い、痛いよぉ! ほっぺ取れちゃうぅ。わかった、わかっからぁ!」 |
蓮十朗 | 「れんにゅーじゃねぇ、蓮十朗だ。で、今度は誰を斬りに行くんだ?」 |
ペーコ | 「あうぅ……狙いはふたつ。一つは、この世界の理を曲げる世界樹の種。もう一つはソルという戦乙女。そして、そのマスターたる勇者の男の子だよ」 |
蓮十朗 | 「ほぉ、強いかそのガキ共は?」 |
ペーコ | 「強いよ……でも、私達よりも弱いよ。問題は彼らを護るもう一人の戦乙女。それに、彼ら以外の敵……それがどう転ぶかわからないの。霜の巨人の眷属、この国を古くから護る呪術の血統。そして、もっとも終末の獣に近づいた娘…… ソル達の味方になるモノもいるだろうし、敵に廻るモノもきっといる。そう、未来は告げているの。今まで以上に激しい戦いになるって」 |
蓮十朗 | 「いいんじゃねぇか? 俺たち以外は全部たたっ斬る…… それが一番簡単だろ?」 |
ペーコ | 「はぁ、良いよそれでも。行こう、れんにゅー。ソル達が待つあの街へ。アレもきっと甦る頃だから」 |
蓮十朗 | 「ああ、斬り甲斐がある馬鹿と、いい女がいれば最高だぜ」 |
ペーコ | 「遊んでる時間はないよ? だって、私達にはもう、時間がないから……」 |
蓮十朗 | 「……かまうかよ」 |
執 事 | 「お嬢様、黒い蝶と侍がこの街に現れたとの報告がありました」 |
刹 那 | 「遺跡の方は?」 |
執 事 | 「反応は以前より激しいようです……あれが実体化するのも時間の問題かと」 |
刹 那 | 「そうか…… この世界の空も、アスガルドの空と同じように黄昏色に染まるのだろうか? ……させるものか。鳳条の名にかけて。 この世界を守ること。それが私の存在理由だから」 |
執 事 | 「はい、お嬢様」 |
刹 那 | 「村上琉平に会いに行こう。兄を倒した男の顔が見てみたい。 それにソルと、もう一人の戦乙女にもな」 |
執 事 | 「はい、直ぐに準備を」 |
刹 那 | 「ブリュンヒルデ……私の中の神が懐かしがっているよ……」 |